「ちょっ??ちょっと待って下さい。
どうしてもわかりません。…何なんですか、涙の溜め池って…。。」
「知りたいかい?…。
知りたきゃ、……
ついといで。。」
そう言って婆ちゃんは、背中を向けてゆっくりゆっくり、歩き始めたんです。
(ついて行ったはいいけど…、帰ってこれるのか?)
婆ちゃんは振り返ることなく歩いてゆきます。
ただ知りたい、という気持ちが体を動かしたのだと思います。
僕は婆ちゃんの後を追いかけたんです。
唐突にも、こんな体験をしてしまった僕は、そのまま婆ちゃんについていく事にしたんです。
大量に涙を流したせいか、心がスッキリしていました…。
これは夢ではなく、現実に起こった事なのです…。
(あれ?こんな場所あったっけ…。。)
いつもの見慣れた道なのですが、なんだか新鮮に見えてくる。
今まで目にもとまらなかったものに、目がゆきます。
横では婆ちゃんがテクテクテクテク…。
見慣れた道を歩いてゆくにしたがって、だんだん道に霧の様なものがかかってきました。
空には、さっきまで真っ白に光って見えた月が、真っ赤に光って見えます。。
霧はどんどん濃さを増し、月も見えなくなった頃…。
(あれ??。こんな道……あったっけ。。)
いつもなら坂があったはずの目の前には、ただ平坦な道しかなく。
坂がどこへやら消えていたのです。
考えいる間にも霧はどんどん濃くなり、婆ちゃんの隣から外れた途端、どこをどう歩いているのかさえわからなくなりました。
今さら後戻りはできそうにありません…。