放課後の学校の教室で「図書室に行こう」とユウがちょっと弱気にユキに話しかけると
「どうしよっかなー」と笑いながら言っていた。
ユウはユキが図書室に行くことは分かっていた。理由なんて無かった。
2人の教室から図書室までの距離はちょっとだけ長かった、ちょっとだけ。
廊下を歩いているときにユキが「ユウって好きな人いるの?」って言ったときに何も言えなくて、ユキがちょっと寂しそうな目をしていたのが分かった。
悪いことしたかなとも思ったが嬉しくもなった。
黙ったまま図書室についたが図書室には他の生徒は誰もいなかった
そしてユキは動物の図鑑を読み始めた。
ユウも一緒に読んでいたがそんなことはどうでもよかった。
ただユキと2人きりでいたかっただけだから。
ユキが本を読んでいるときにみせる笑顔や優しい声、ちょっと茶色い髪や舌を出す仕草
それらを今はユウだけが見ていられるということで満たされていた。
瞬きのような早さで時間が過ぎて図書室が閉まる時間になってしまった。
ユウは自分の気持ちは伝えられていないけどそれでも幸せだと思えていた。
帰りにユキがユウに手を振ったときに「楽しかったな」って言ってくれたらしく何か繋がりあえたかなと思えたようだ。
そしてユキが見えなくなってひとりになったときユウはちょっとにやけながら確かな幸せを握りながら家に帰った。
次の日のユキの恥ずかしそうな笑顔を思い浮かべながら。