寂しい悪魔

すてねこ  2007-12-11投稿
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ある所に悪魔がいました。

その悪魔は生まれついての本物の悪魔です。

悪魔が生まれた時、あまりの醜さにショックでお母さんは死にました。
産声の醜さで、病室にいた人達は発狂して死にました。

その吐く息は毒の息で、なんとか育てようとしたお父さんもやがて中毒で死にました。


悪魔はいつもひとりです。

誰もが悪魔のことを悪魔だと知っているからです。知らない人もその姿の醜さですぐ悪魔だと気付きます。

誰も悪魔に近付きません。悪魔があまりにも醜い姿をしてるから。

誰も悪魔に近付きません。その吐く息は毒の息だから。

誰も悪魔に近付きません。悪魔がくしゃみをしても咳をしても、どこかで誰かが死んでしまうから。

誰も悪魔に近付きません。でも、悪魔は寂しくて泣きます。

ひとりぼっちは寂しいと泣きます。
その泣き声によってどこかで誰かが死んでしまっても、寂しい寂しいと泣くのです。

それでも人々は悪魔に近付くことはありません。その泣き声を聞いたひとはみんな死んでしまったからです。

悪魔は寂しくて泣きます。悪魔は自分のせいでひとが死んでしまうことが悲しくて泣きます。

どんどんどんどんひとが死んでいきます。

悪魔は寂しくて泣きます。悪魔は悲しくて泣きます。

どんどんどんどん死んでいきます。


悪魔は寂しくて泣きます。悪魔は悲しくて泣きます。


やがて悪魔は本当のひとりぼっちになってしまいました。



ちょうど同じ頃、悪魔も泣いて泣いて、泣き疲れて死んでしまいました。

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