「ウォ…ヴォア♪ヴォ…オォォオオォオヴェォァ♪」
ダンシングサンタは倒れながらも踊り続けていた。
まるでブレイクダンスだ。
泣き叫ぶ子ども達。鎮魂歌を奏で続けるサンタ。
「時間の無駄だったようだな。」
少年はパニックになった現場を後にして二階に向かった。
『二階。おもちゃ売場でございます。』
「うむ。エレベーターの貸切とはなかなか気持ちいいな。」
乗りたくてもお前がいたから乗らなかったんだと思うぞ。
「さぁ。どこに…ん!!!?」
少年は走った。
「ウォウ♪ウォウ♪イェーァ♪」
「きっ、貴様!?どういうことだ。」
クリスマスシーズンだからいたるところに置いてあるダンシングサンタ。
「ウォウ♪ウォウ♪イェーァ♪」
「ウォウ♪ウォウ♪イェーァ♪」
「ウォウ♪ウォウ♪イェーァ♪」
「ウォウ♪ウォウ♪イェーァ♪」
「ウォウ♪ウォウ♪イェーァ♪」
五体のダンシングサンタが不気味なメロディーを奏でながら踊り狂っていた。
おもちゃ売場だからしょうがない。
「どっ!!どういうことだ!?分身の術か!?」
これでも少年は真面目なのだ。
「くっ!!まさか既に俺はこいつの術の中か!?」
少年は初めて恐怖した。そして体が震えた。
「たっ、助けてくれぇ!!」
ダンシングサンタの前で頭を抱え込んで震える少年。
『ママぁ?なにあれ?』
『見ちゃだめよ!!』
周りは恐ろしいほど冷たい目線を少年に当てた。