自分の事を書こうと思う。
今まで勇気が足りずに告白でなかった、私が犯した罪を。
約7年前高校を卒業し、上京した。18歳だった。胸には夢とか希望とか、とにかくキラキラしたものが文字通り溢れていた。
美容師になる為、某有名美容学校へ裏口入学…。高校もろくに行かずに、受験にも苦労しなかった。楽ばかりして来た私と皆とではスタート地点の時点での気合いで負けていた。
でも、手先が人より少しばかり器用なお陰で、先生達が一度見本を見せただけで、直ぐににそれなりの作品を造る事が出来た。夢や希望や、心の中にあったキラキラしたものはすぐに色褪せて見え、つまらなくなった。
人付き合いのあまり上手くなかった私は、友達も中々出来なかった。そこに私の居場所など、何処にもない。
日に日に学校と言う場所が窮屈に感じるようになり、遅刻もしょっちゅうするようになった。
そして、若くて世間知らずの私は、あっという間に東京という海に呑み込まれ、海底まで真っ逆様に墜ちて行った。
その内に、自分が墜ちて行く感覚がたまらなく気持ち良くなっていった。墜ちて行く私を、親にはもちろん、自分自身にさえも隠し、偽っていた。
上京して半年になる頃には、そのもう一人の自分に『心、感情、思考』の全てを乗っ取られてしまったのだ。
学校には朝から出る日の方が少なくなって、先生から毎日呼び出しを受ける様になっていた。
孤独な私に、『夜遊び』という友達が出来た。でもそいつと遊ぶには、これまた『お金』という便利な仲間を連れて行く必要があった。
『夜遊び』とはすぐに意気投合し、大親友になれた。私の孤独を癒し、その時私が望むもの殆ど端から差し出してくれた。
しかし、『お金』ってやつはかなりの気分屋で、自ら私の所に来てくれる事は一度もなかった。でも『お金』を連れて行くと、いつでも『夜遊び』は私を満足させてくれた。
もちろんすぐに『夜遊び』という、いつでも私を受け入れてくれる友達と、『お金』を常に引き止めて置く方法を考え始めた。
それと私は『お酒』ってやつが嫌いで、避けていた。しかし、此処は海底…。代りに話し掛けて来たのは『男』と『薬』という『お酒』よりも達の悪いやつらばかりだった。
そう、こいつらそれぞれに、心、感情、思考を奪われて行ったんだった。
海面を見失い、海底の泥に染まり、汚れて行ったのはこの頃だろう。