深い森の中、独り彷徨う僕は…一輪の花を見付けた。
燃える様な赤い髪に吸い込まれそうな黒い瞳…唇は…桜色。
触れてみたくて…手を差し出す…。
「ーっ!」
この花には…刺がある…。それも…抜けない刺が…。
僕は、その刺に刺された。それ以来…僕の頭には“あの花”が忘れられない。
…きっと…あの刺には、毒がある…
刺した者を“虜”にする“甘美な毒”が…。
花に、名前を付けるなら…
…そう【荊姫】…。
多くの者を虜にする術を持つ…麗しき僕の…荊姫。