荊姫

紫幸 燈子  2007-12-12投稿
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深い森の中、独り彷徨う僕は…一輪の花を見付けた。

燃える様な赤い髪に吸い込まれそうな黒い瞳…唇は…桜色。

触れてみたくて…手を差し出す…。

「ーっ!」

この花には…刺がある…。それも…抜けない刺が…。

僕は、その刺に刺された。それ以来…僕の頭には“あの花”が忘れられない。

…きっと…あの刺には、毒がある…

刺した者を“虜”にする“甘美な毒”が…。

花に、名前を付けるなら…

…そう【荊姫】…。

多くの者を虜にする術を持つ…麗しき僕の…荊姫。

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