高く澄み渡った空。
暖かい光が満ちる。
ゆっくりと走る列車。
窓に寄りかかり外に目をやる。
線路脇の土手の日溜まり。
無数の秋桜が花を咲かせている。
きっと私のあの子も
あの中にいて、
薄桃色の花を付けているだろう。
もう触れる事は出来ない頬。
花びらの様なあの頬。
見つけられると信じ目を凝らす。
そのまま土手を行き過ぎ、
列車は今日も私を街へと運んで行く。
そしてまた花達は、
愛でられもせず、
手折られもせず、
かぜに揺られ太陽に向かい続ける。