ロジック 第1部 ?

KOH.  2006-04-02投稿
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 …俺は暗い部屋に、独り転がっていた。特に何をするでもない。ただ、闇の中を見つめていた。手元のケータイが突然けたたましい叫びをあげ、電話だかメールだかの着信を告げるが、それにも応じない。

 『…どうせ、マキじゃないんだから……』

 …マキ……。それは、俺の最愛の彼女、だった。

   * * *

  ロジック 第1部

   * * *

 あれから、1年−。俺は桜咲く坂道を抜け、学校へ登校する。坂の先でいつも俺を出迎えてくれる校舎は、いつ崩れてもおかしくない、老朽した建物。この大学で勉強するのも、はや2年目になる。

 『ありゃ、今日は来るの早いじゃねぇの。いつも遅刻スレスレなのに』

 後ろから聞こえた声に振り向くと、そこには憎まれ口をたたいた奴がいた。

 『そろそろ気持ちいれかえたんかいな?』

 『うるせぇな、俺だってたまには早く着くっての!!つか、お前がいつも早く来すぎなんだよ、サク』

 『そんなことないさ、俺は先を考えて行動してるだけよ。ハルが考えなさすぎんだって』

 『ちぇっ…この理屈のカタマリめ……』

 理屈のカタマリ、サクこと大島朔弥(オオシマ サクヤ)は、幼稚園時代からの幼なじみである。俺のたいていの事は知っている、一般で言う「親友」というやつであろう。憎まれ口も、長く付き合えば愛嬌である。

 『直感だけじゃいつか痛い目みるぞ。…それよりハル、気になるウワサがあるんだが』

 辺りの様子を気にするそぶりをみせながら、突然ヒソヒソ声になるサク。俺も思わずヒソヒソ声で返す。

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