試験官の向かいに立つと、殺気がヒシヒシと伝わってくる。まるでライオンが目の前にいるみたいだった。
俺は額から冷や汗が垂れ、背中がゾクゾクするのを感じた。だが俺は、恐怖や畏怖を感じ、相手は自分より遥かに強いと分かっていたのにも関わらず、その状態を楽しんでいる自分がいることに本能的に気がついていた。
『ほぅ、俺を目の前にして笑うか。その精神力は認めてやろう。』
『精神力だけじゃないかもしれませんよ』
「ゴクッ」と俺は唾を飲んだ。
『ふん。面白い。ではその力を見せて見ろ!!』
五メートルぐらい離れていた距離が一瞬にして五センチに縮まった。
「クッ!早い!!」
俺はとっさに右に避けた。すると試験官はそのスピードをそのまま力に加えて右のキックをだした。
『グハッ!!』
ガードごと吹っ飛ばされ相手を一瞬気絶し、意識が戻り前をみると。
『遅い!』
低くドスの聞いた声がすぐ後ろで聞こえた。
『グアッッッ!!!』
背中に強烈な肘打ちをくらい、背骨がギシギシと痛い。 「やっぱり強えなぁ〜」
そう思っていながら、心の奥底で フツフツ と煮えたぎる何か熱い感情が増殖していった。
〜続く〜