今、僕は恋をしている。朝いつも僕の家の前を通る、綺麗な女の人。一目惚れだった。髪が長くて、前を通る時とっても良い香りがする。名前は知らない。聞けないんだ。それでも彼女は僕の生きがいだ。
ある雨の日、いつもの時間に彼女が来ない。−どうしたんだろ? 結局彼女は夕方には現れた。でも傘も持たずにびしょ濡れだ。そして泣いていた。理由は分からない。でも慰めてあげたい! 僕は、一番のお気に入りの〔骨〕を持って彼女の下へ走り寄った。
「もう!うっとおしい犬ね!」
僕は水溜まりに映る自分の姿に吠え続けた。