その日をきっかけに仕事が終わると毎日のように彼の家に行った。
私は彼に夢中だった。
彼は私に通うのが面倒なら一緒に暮らそうと言ってくれた。いつ奥さんや子供が帰ってくるかもしれないのに彼は平然とした顔で私に言ってきた…。私は迷いもなく『うん』と返事をした。
月日は流れて私はキャバ嬢を辞めた。次第に私の気持ちは奥さんと子供への嫉妬心が膨らんでった。彼から別れようと言われれば抵抗できないからだ。私は彼に振り向いてほしくて昼の仕事を始めた。全ては順調だった…。
それから彼と新年を迎える事になりますます私は彼と離れられなくなっていた。
(ピーンポーン) 誰か来たようだ。私は玄関を開けると綺麗な女の人が立っていた。私はすぐ彼の奥さんだと気付いた。彼女は私に涙をこらえて
『出ていけ』
と言った。
彼女は走ってどこかに行ってしまった。
私はいずれかは起こるだろうと予想していた事が本当に起こった。
涙がポロポロとこぼれ落ちた…。いけないのは私なのに……。
彼は私に何も言ってくれなかった。その日から私は悩みに悩んで彼と別れる事を決心した。彼にそう伝えると何も言い返してくれなかった。 やはり私は遊ばれていた…。荷物をまとめ、家を出る…。好きなのに別れるとは何とも言えないくらい辛いのだ。
私はタクシーに乗りその場を後にした…。ふと窓越しに目に入ったのは花屋だった。タクシーを止めてもらい花屋に入り一輪の黄色い薔薇を買った。花言葉は『嫉妬』らしい…。その花を持ち車に戻ると私はタクシーのおじさんに来た道を引き返してほしいと言った。
戻ってきてしまった…。
彼の家に戻りインターホンを鳴らした。
『おかえり』
彼は私にそう言うと抱き締めてくれた。私は最後までここにいさせてほしいと彼に言うと、分かった。と言ってくれた…