「……あの〜、すいません……?」
心臓が連続宙返りを5回やってのけた。うむ、俺の心臓も伊達ではない。
とか言っている場合ではない!
さて、モヤモヤ状態の俺の脳ミソも先程の何者かの呼び掛けによって叩き起こされたが、
無防備な状態であったために物凄い声を上げていた!ああ、ご近所迷惑も甚だしい。
「な、な、な、な、な、な、な、な……」
先程からずっと「な」ばかり再生しているのはぶっ壊れたCDプレーヤーではない。俺自身だ。
「驚かせてしまって申し訳ありません……。」
美少女は言った。
「何者ですか!?アナタは?!」
俺は少々うわずった声で聞いた。
「魔術師のシェリー・ヴェルザンティと申します。」
「魔術師、ですか……。」
俺は、先程とは打って変わった冷静な声で聞いた。
魔術師と聞いて驚かないことについては後述しよう。
問題はナニユエこのしがない男の家に魔術師という(俺にとって)雲の上とまでは行かないが、
高みにいらっしゃるはずの方がいらっしゃるのかだ。
「何故突然お訪ねしたのかお話いたします。その前に……。」
彼女の言葉を代弁したのは彼女の腹部から発生した音だった。