<智絵side> 「お腹空いたぁ…」
午前4時。あまりの空腹に目覚めてしまった。トイレを済ませ、もう一度寝ようと試みたが、自分のお腹の音で眠りにつけない。
しかも、ふと、隣の拓にぃのことが気になってしまってから、余計に興奮気味だ。
「さっきの夢…最高だったなぁ〜。」
あたしが見た夢では、拓にぃが、泣いていたあたしを慰めてくれた。しかもを涙を手で拭いてくれた上に、キスまでしてくれた。
現実には絶対に有り得ない内容だった。
その夢もあって興奮は治まらない。
もう一度、無意味にトイレに行った帰り際、隣の拓にぃの部屋を覗いた。
なんとも凄い寝相だった…笑
「綺麗な顔だなぁ…」
拓にぃは学校で三本の指に入るモテ男。
すこし焦げた肌に、すらっと高い鼻。やわらかい髪で、長いまつげ。
目を開ければ二重で優しい瞳が現われる。
時には男らしく、時には溢れんばかりの笑顔と優しさ。学校中の女子が目を光らせるのも当然だ。
拓にぃの寝顔を見ながら小さく呟いた。
「そろそろ行くかぁ…」
長身の拓にぃはベットぎりぎりという感じで、膝を曲げて寝ていた。
自分の部屋に戻ろうと立ち上がった瞬間…
拓にぃの声がした。
「俺の傍から離れんなよ。」
突然の出来事に驚いて、すぐに拓にぃを見ると…
ベットに横になったまま目を開けて、両手をあたしに広げている拓にぃがいた。
あたしは躊躇いもなく、拓にぃに抱きつき、暖かい拓にぃの腕のなかで眠った。
拓にぃはあたしのオデコにに優しくキスをした。