天と地の間に−第1章 誕生?−

でっち  2007-12-15投稿
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「双子…?!
………あ!そういえば、まだ子供の頃ファミエル様に連れられて行った図書館の本に書いてあったような…。
確か、同じ果実から産まれ、姿形が同じである二人の天使のこと。」
「あぁ、しかもだ。マリエル。その双子の片方は必ず堕ちる。」
はっ!とマリエルはA・ミカエルの方を向いた。
「そんな!!こんなに可愛いこの子たちのどちらかが堕天使に……魔界の者になるのですか!?」
今まで見せたことのない形相でマリエルはA・ミカエルを見つめていた。
「落ち着け、マリエル。
あくまでも文献の中の一説にすぎない。幸いにも まだ神はこの事を知らない。ならば、この子たちはそれぞれ産まれ、私がマリエルに預けた事にすればいい。
双子なんてまれに見ない。誰も疑いやしないし、心配なら俺がこの子にアークエンジェルの後継の証を付けてもいい。」
「そうすれば この子たちは助かるのですか?」
「あぁ、黒い翼さえ生えてこなければな。」
「では、今A・ミカエル様が抱えておられる子に、お願いします。」

そう言われると、静かにA・ミカエルは頷いた。
そして、銀の鎧の腰に着いていた小さなナイフを取り出すと、口にくわえ、右手の親指を切った。
赤く流れてきた血を、抱えている赤ん坊のおでこに押し付け、
「我はミカエルの名を受け継ぐ者なり。我が鮮血におき、我が名、我が血、我が力を、この者に授けん。」
すると、その赤ん坊のおでこから淡い赤い光と共に、炎の印しが刻まれた。
「これでこの子は、俺の後継者。つまりミカエルになったわけだ。
そっちの子はどうするんだ?」
「この子は……私の仕事を継いでもらいます。
名前は……リュシフェル!で、どうでしょう?」
「いい名だ。加護があらんことを。」
二人は見つめ合い、フッと笑った。

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