あの日の俺はどうにかしてた。
彼女いない歴25年の俺は盆休みに久しぶりに祖父のいる田舎に行った。
「おじいちゃん、ただいま。」
白髪頭の70歳過ぎの祖父は温かく僕を迎えてくれた。
「よく来たね。さあ上がって…。今、真琴も来とるから。」
真琴ってのは現在高校2年になる従弟である。
俺は久しぶりに会う真琴のいる2階に上がった。
「おっす、久しぶりやの…」とドアを開けた瞬間、俺はその場に立ち尽くした。
「ちょっと、開ける前にノックくらいしてよね。」
「おぅ、すまん…」
俺が立ち尽くすのも無理はない。部屋の中で真琴は女の子のように鏡の前でメイクをしていた。
その横顔はまるで本当の女の子みたいで可愛かった。
「真琴、お前何をしてんだ?」と部屋の中に入ってドアを閉めた。
「これ? お兄ちゃんには関係ないでしょ?」
俺はメイクして変わっていく真琴をずっと見つめていた。
20分くらい待ったか真琴は今度はクローゼットに服を選び始めた。
「おい、何だ?」
黙って真琴を見ていると、クローゼットの中からお気に入りの女性用の服を手にした。
すると真琴はその服に着替え始めた。
ただただ俺は真琴に見とれるだけだった。
(可愛い。何だこいつは?)
着替え終わった真琴は可愛い女子高生その物だった。
「可愛いじゃねえか。」
俺は真琴に近づき、彼の肩にそっと手を回し抱き寄せた。
鏡に並んで‥
「マジ可愛いぜ。」
と言いつつ、俺は真琴にキスをした。
「何すんだよ! 気持ち悪いんだよ。」
「何だと…!」
俺はどうしようもない衝動にかられ、真琴を押し倒した。
「ちょっとやめてよ!」
真琴より力の強い俺は彼の抵抗を気にせず、強制的に彼の唇を奪った。
「何じゃね、ドタドタして…。」
そこに祖父がやって来た。
祖父と目が合った俺はすぐ真琴から離れ、その場にへたり込んだ。
落胆する祖父に泣きつく真琴、俺は頭を抱え「ウォー!」と叫んだ。
俺はすぐ荷物を持って祖父の家を飛び出し、当てもなく走った。
気がつけば近くの河原にたどり着いた。
そこでしばらく途方に暮れた。