辺りは真っ暗で、どっちを向いても退屈な景色だった。ここには通りの街灯も、町を照らすきらびやかなネオンも、見上げれば白く小さく輝いているはずの星さえもが存在しない。 景色を見て楽しみ、きれいだと思う事さえもできない世界。 なんて所に来てしまったのだろうと後悔してみても、それは今さらなことだった。おそらく、境遇は違えども僕と同じ気持ちでいる人が他に4人存在するはずだろう。そう考えると気が楽になるほど、自分は単純な人間ではないと思っていた。それでも、彼らの境遇と自分のとを比べることを僕はやめようとはしない。 僕らが「神」と呼んでいた「人間」によって視覚以外のそれぞれの五感を失なった彼らと。