カタカタカタカタ―――――。
キーボードを叩く音だけが響く。
私の仕事は経理事務だ。今は月末で、お陰で毎月この時期は毎日残業になる。終わるまでは帰れない。数字が合わなければ帰れないなんていつもの事だ。
――――今日も亮ちゃん、ご飯作ってくれてるんだろうなぁ。
優しい夫の事を考えると、申し訳なくて、気持ち分キーボードを叩く音を速めてしまう。
こんな日なのに、金曜日だからと言って、皆飲みに行ってしまった。
うんざりしながら、ふと窓の方を見ると、チラチラと雪が降り出していた。
煎れたてのコーヒーの熱さに気をつけながら、マグカップを口に近付けた。