『その策を立てたのは、誰だ?』
歳三は正宗に聞いた。
『北条だ』
正宗は苦々しそうに答えた。
『北条か。どうやら、北条と言う男は、よほどの馬鹿か、三流のぺてん師のようだな。』
歳三は容赦ない。
『ああ、俺様もそう思うぜ。だがな、そんな策に上杉と前田が乗った。ってのがどうしても信じられねえ。』
正宗は疑問を口にした。
『乗ってしまったのは何故か?取り敢えず今はそんな事より、続きを聞かせてくれないか。』
と、歳三。
『あ、ああ、まあ、結局はあんたの言った通りになった。だが、一つだけ違う事がある。』
『なんだ?』
『北条の野郎は、慎玄と通じてやがったのさ。』
正宗は忌々しそうに言った。
『なるほど。ならばその馬鹿げた策を立てた事に合点がいく。それで?上杉と前田はどうなった?』
『前田は、徳川、明智、北条の軍から囲まれ、あっけなく討たれちまった。』
『上杉は?』
『上杉は、雪村に殺られちまったぜ』
と、正宗
『しかし、上杉謙心と言えば、かなりの猛者だろう。』
歳三は聞いた。
『相性が悪かったのさ』
『相性?なんだそれは?』
歳三の眼が鋭く光った。
『あぁ?知らねえのか?あんただって雷の剣気を纏っているじゃねえか。』
『ああ、あれか。あれは生まれつきだ。言われてみれば、俺のいた所には他にそんな奴は居なかったな。』
歳三、懐かしそうな眼をした。あの沖田や近藤や斉藤でさえ、そんな剣気は纏っていなかった。沖田からよく羨ましかられたものだった。
『ほう。どうやらあんたは最初からこっちに来るべき男だったようだな。』
『どういう事だ?』
歳三は聞いた。
正宗はやれやれと言った風に続けた。
『こっちでは、そう言う奴等を、「神力者」と呼ぶ。まあ、大体は殆どの武将が持っているがな。因みに、俺様の神力は御存知の通り、焔だ。』
歳三は驚いた。自分に神の力があると言うのか。
『んで、さっきの相性だがな。上杉は水で雪村は氷だったのさ。』
『よく解らん。』
『しょうがねえなぁ。頭使えば、解るはずだぜ?』
正宗は面倒臭そうに言った。