翌日、麻里は1階に下りて母に聞いてみた。
「14歳の時、門の外に出たいと思った?」
「なぁに?急に」
「気にしなくていいから。ねぇ思った事ある?」
「いいえ。今まで一度も思った事ないわよ。どうして?」
「なんとなく」
「なんとなく?…まさか門の外に出たいの?」
母は青ざめた顔で聞いた。
「うん、出たい」
「やめなさい!殺されるのよ!」
「でもずっとこの国に閉じ込められたままなんて嫌だもん」
「絶対にダメ」
「嫌だ!」
「………ハァ」
少しの沈黙の後母は溜息をついた。
「どうしても出るつもりならまず、私を殺しなさい」
「えっ…」
麻里はこれ以上喋れなかった。