オオイヌノフグリ

通りすがり  2007-12-16投稿
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先輩!!

お前の弾むその声も

今はもう聞こえない

新しい環境で

俺は後輩となり

毎朝水拭きで雑巾掛けに明け暮れる

並んで歩いてた道端で

お前は小さな花を見つけ

楽しそうな声で俺を呼び止めた

『先輩!!』

目線の先には小さな青色の花があった

『この花の名前、オオイヌノフグリって言うんですよ』

『へぇ、変な名前』

嬉しそうに笑むお前を横目に俺は愛想のない返事をした

『フグリって、実は犬のあそこって意味なんですよ』

『可哀想ですよね、こんな可愛い花なのに』

世の中矛盾に溢れかえっている

『こいつもその犠牲者の一人なんだよ』

『その犠牲者って?』

『数限りない世の矛盾の犠牲者だよ』

お前は少し寂しげに見つめていた

雑巾の汚れで真っ黒くなったバケツの水を

こいつにだけはかけない様に

その都度遠くにこぼしにいった

いつでも辛い時にはこいつを探す

お前の無邪気な笑顔を映しだしてくれるから



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