「ちょっとね…。メル友ができたって、前に言ってたやん?あれからな、写真が送られて来てとうとう昨日電話で話してん。」
同僚の桜木は目が点になっていて僕を倉庫に連れて行き、ボソボソと話し始めた。
「うそぉ!可愛かった?ええ感じなん?」
「まぁ、綺麗なことは綺麗やねんけどな、めっちゃ積極的でな。意味分からんわ。」
「お前の写真はもう送ったんか?」
「いや、そのことで電話してんけどな、俺、写真とか嫌いやん?送るやつないしな、お前らとこの前撮ったプリクラでいいかなーって電話してん。」
「ほんでな、お前も映ってるしな、亜紀ちゃんとかも一緒やしな、大丈夫かなぁと思ってな、それを聞かんとアカンし…。」
「俺はええで。でも、他に写真ないんか?一緒やったんは亜紀ちゃんと、奈緒ちゃんか。」
「やっぱり、亜紀ちゃんと奈緒ちゃんにもOKもらっとかなアカンやろなぁ?」
「バレたらいい気はせーへんと思うで。まぁ、断られるかも知れんし、かなり突っ込まれるのは覚悟せなアカンやろなぁ。」
「それがなぁ、嫌やねんなぁ…。今日、送るって電話で話したし、準備は出来てるねんけどなぁ。」
桜木が急に神妙な顔をして重そうに口を開いた。
「優木、ここだけの話やけどな、お前、かなり鈍いやろ?プリクラのことやけどな、断られる確率かなり高いで。」
「えっ?なんで?オンナはそういうの嫌がるん?自分が映ってる写真とか知らん人に送られて見られるの。」
「まぁ、それもあるけどな、それは事情話したら済むことや、亜紀ちゃんは微妙やねん。問題は奈緒ちゃんや。」
「なんなん、微妙とか問題とか?」
「せやから、優木は鈍いねんって。大体な、俺とか亜紀ちゃんとかにな、これメル友に送ってええか?って聞くこと自体がアホやねん。黙ってしらーっと送ればええねん。」
「……。」
「でも、みんなが知らん人に送る訳やし、確認しとかなヤバイやろ?」
「バカ正直にも程があるな。お前がメル友できたって聞いてから、まぁ、楽しそうやしええかなって思ってたけどな、マジで何も分かってないな。」