とおるからのメールは、普通にかえしたが、たつやからのメールは、何回かに一回返すようになった。
『なお…』
さみしげなたつやからのメール。
わざとではなかったが、距離をおいたほうがいいと思っていた。
『こんど、関西にいくよ。』
え?
『いつ?』
思わずメールを返した
『来週』
『仕事?』
『いや、なおに会いに』
『困る』
『家には行かないよ、ただ、観光案内してよ』
誰かに見られたら…
『大阪ならいいよ』
大阪なら、みつかりにくい。
『泊まれる?』
『無理よ』
家には帰らなきゃ…
『そか…』
残念そうなメールだったが、仕方ない。
家庭を壊すわけにはいかないのだから
『ごめん』
たつやが、あやまってきた。
ちがう。あやまるのは、私の方。
彼は悪くない。独身で、私が既婚。悪いのは私。
はじめて自分の立場を理解し、気持ち的にも追い詰められていた。