京子は、病院を出て行ってしまった純を必死で追い掛けた。純に追い付いたのは、病院から500メ−トルくらい離れた所だった。「純。待って」京子は、純の手をなんとか掴んだ。「純、落ち着いて」と、そのとき純はポケットに入ってた財布を道に放り投げた。 京子は、どうしようかと迷ったが、携帯電話を取り出し会社に行っている父に電話をかけた。「どうした京子?」電話に出た父が心配気な声で言った。 「純が病院から逃げ出して、今押さえてるけど」 「分かった。純を離すなよ。今から、お父さんそっちに向かうから」 「すごい力なんだもん。純」「とにかく離さないで純を落ち着かせるんだ」「分かった。お父さん、気をつけて来てね」京子は、本当に純がどうなってしまったのかと思い、涙が溢れてきた。