不思議なお香

ななしー  2007-12-18投稿
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ある日の帰り道、お店からお香の香が漂っていた。

「こんなとこにお香の店なんてあったかな?」

俺は香りに釣られるかのようにお店に入っていった。
「いらっしゃいませ。」
お店には一人の老婆が座っていた。

特に買いたい物などなく、店内の棚を見て回っていた。
「お客様、何をお探しかえ?」
「いや別に。ちょっとお香ってどんなものかな?‥って思って。」
「じゃ、こちらのお香はどうかの?」

ふと老婆を見ると、カウンターの上に赤、白、黒の3色のお香が並んでいた。
「これは?」
「このお香は不思議なお香です。効き目は煙が消えてから2時間です。」
「へぇ、不思議なことって何だろ?」
「それは炊いてからのお楽しみです。今なら3つで300円でございます。」
「安っ!」
「どうです? お買い上げしますか?」
「はい。」

俺はそのお香を購入し、早速、家に帰ってお香を炊いた。

まずは赤のお香…
煙が消え、しばらくすると俺の身体に変化が現れた。
「な、何だ‥。これは‥」

俺の身体はみるみる女性化していった。胸は膨らみ、身体の線が細くなっていき‥下腹部も変化を遂げた。

「おいおい、すげえ〜! どこから見ても女じゃねぇか!」

俺は自分の裸を鏡に映し、女性としての肉体的快楽を味わった。

「赤は女になるんだな。じゃ、白は何だろ?」

次に白のお香を炊いた。
しばらくするとまた俺の身体に変化が生じた。

「今度は何だ? 急に身体が重くなったような‥」

また鏡に裸を映した。すると肉が落ちて顔にシワが出て白髪の老人になっていた。

「うわっ! 年をとると俺ってこうなるのか?」

何か失望し過ぎて、布団の中で寝込んでしまった。
2時間経ち、ようやく元に戻ると最後の黒のお香を見つめた。
「これもまた身体が変化するのか?」

最後の黒のお香を炊いた。
煙が消えても身体に変化は起きなかった。
「なんだ、何も起きねえじゃねぇか?」

そう思ってると突然、俺は台所にあった包丁を持ち出し家の外に出た。

何かに操られてるように道を歩いてる人々を包丁で刺していった。

それは地獄絵図のようだった。
俺の衣服や道は血に染められていた。


2時間後、俺は警察の拘置所の中にいた。

「俺は何をしたんだ‥。」

黒のお香は人格が極悪になるものだった。

あなたは時に別人になりたいと思いますか?



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