『新しい玩具が、そろそろ届くはずだが、まだかね?』
男は国内有数の大富豪。その莫大な資産を武器に、数々の悪事を揉み消してきた。
『はい、まだですね。しかしながら、今回はかなりの素晴らしさですよ、旦那様。楽しみにしていてよろしいかと』
彼の執事が言う。男は椅子に踏ん反り返ったまま、下品に笑う。
『グフッ、そうかそうか。それでは今暫く待つとしよう。じゃあ、わしはコレクションで遊んでくるよ』
そう言い残し、男は部屋を出た。
「義賊」なんてのが流行ると、彼の悪事が世にはばかることになる。今まで金の力で踏み倒してきた、悪行の数々。それが公になっては、もう今の生活はない。それは困る。だから、世間に義賊を認めさせるわけにはいかない。
自分の楽しみを、潰させるわけにはいかない。