* * *
『グフッ、今日はどのコと遊ぶかなぁ?』
男が向かった先は、例の牢屋。
カツ…カツ…。
辺りは静かで、男の足音以外、何も聞こえない。足音だけが、妙に響く。
カツ…カツ…。
コツ…。
『………??』
男は、変な違和感に気付く。
『…あれ?何で、女が一人もいねぇんだ?』
確かに、全国各地から集めてきたはずの美女達が、牢の中に一人もいない。おかしいな、と思いつつ、男は歩みを進める。
カツ…カツ…。
コツ…。
クスッ、クスッ…。
『………!?』
男はだんだん、薄暗いこの不気味な場所が怖くなってきた。何で、女が一人もいないのに、女の笑い声がするんだ?もっ、もう戻ろう、戻って執事の奴に問い詰めてやろう…。そう思って、後ろを振り向いた瞬間、彼の背に悪寒がはしった。