奈央と出会えたから。?

麻呂  2007-12-18投稿
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俺には家族も恋人も金もない。

だから俺には失う物なんては何も無いのだ。

それなのに。ずっとそう思って生きてきたはずなのに‥。

木下 奈央。彼女に出会ってからは、
俺の中の何かが変わった。

それが一体何なのか、自分でも良くわからなかったが、その時はただ漠然とそう思った。

そんな事を考えながら、俺は質屋を後にした。

ふと空を仰ぐと、チラチラと真っ白い粉雪が舞って来たーー。

街はクリスマスのイルミネーションで光り輝いていた。

そっか‥。来週はクリスマスか‥。


俺の生まれ育った故郷は、“倶知安町”(くっちゃんちょう)と言う豪雪地帯である。

羊蹄山と言う山の麓の小さな町である為、夏はとても涼しく、避暑地として、知る人ぞ知る穴場スポットであった。

今は此処、札幌でネットカフェのナイトパック生活をしている訳だが、毎年この季節になると、何故か故郷の事を思いだす。

まるで、この白く舞い降りて来るモノが、俺の心を解き放してくれるかの様にーー。


時計を見ると9時30分。


そろそろいつものネットカフェに戻る時間だ。


今日は冷え込みそうだな。


俺は足早に店へと向かった。


歩きながら、今日1日にあった出来事を思い出していた。


木下 奈央。彼女の事も。


そして、明日派遣会社の担当者に返事をしなくては。


2日前に紹介があった、工場オペレーターの長期の仕事。


是非お受け致しますとーー。

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