｢中学２年のとき、うちの両親が離婚して…私、何もかも嫌になって…家には帰りたくなくて、友達の家泊まったりしてた｣
｢……｣
｢悪い仲間とも一緒にいて…タバコとかは吸わなかったし、クスリもやらなかったけど……離婚した親が許せなくて、困らせようとした｣
オレは聞いちゃいけない気がして、でも彼女のことが気になって、どうしたらいいのかわからなくなった。
｢…でもね、母親は構ってくれなかった。私の気持ちを分かってくれた人はおばあちゃんだけだった。おばあちゃんは私の話をよく聞いてくれた｣
彼女はそこまで話すと水を一口飲んだ。相変わらず顔は下に向けたままだ。
｢いいばあちゃんじゃん｣
何と言うべきか分からないオレは、どうでもいいようなコメントをした。彼女は一瞬顔を上げ、安心したように微笑むが、その表情はすぐに消え、またうつむいた。
｢でもね…私があれちゃったから…だからおばあちゃんはストレスで病気になったの｣
オレは何て言ったら良いのか分からなく、ドリンクバーで入れてきたコーラを口に含み、掛ける言葉を考えた。普段あまり喋らない彼女が、こんなにたくさん、しかも家庭の事情をオレなんかに話してくれることに、嬉しさと戸惑いを感じた。
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