ブスの束の間の幸せ?

美々  2006-04-04投稿
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あらすじ
私は初めて彼氏が出来た

「210円、498円、全部で4268えんになりますっ♪」

どの店員も私の変わりぶりに腰が抜けるほど驚いているだろう。
今日の私は何だって出来る気がする。いや今日だけじゃない、明日も明後日だって。

敬助がいてくれればいつだって…





あの晩、私は敬助に素直な気持ちを打ち明けて認められた。人生初の告白に人生初の彼氏。私は夢でも見ているような錯覚さえした。だけど目の前にいる敬助は本物で、この胸に甘える彼の温もりも確かなものだ。敬助に触れられる度にリアリティーが高まっていく。感情も高まっていく。
敬助…
これほど心に響く言葉はない。

私は敬助の頭を撫でながら言った。

「そういえば敬助ってなんであんなに具合悪かったの?熱もないのに」

敬助は情けなさそうに答えた。
敬助は今年入社したばかりの極普通のサラリーマンで、先輩達と飲みに行ったのだけど気の低い彼は本当はお酒が飲めないのに無理をして飲んでしまいあのようなことになってしまったのだという。
敬助の話しを聞いてなんだかすっかり納得してしまった。
私が敬助に素直になれたことや抵抗がなかったこと。敬助と私はなんだか似たもの同士なんだってことがよく分かった。
それから自分達の愚痴や今日出逢えた喜びを夜明けまで話し、私達は一夜を共にしたのだった。






「それではお先失礼しちゃいます♪」

「あら育美ちゃん今日は早いのね?これから食べに行かない?」

「すみません、用事があるんで!」

「あら、さては恋人かしら?」

「えへへ、そんなとこです♪」


恋人が出来てから私はだいぶ変わった。オバサン達とも徐々に仲良くなってきたし、私がレジ当番でもお客は避けることなく並んでくれるようになった。
何もかも全て敬助のおかげ。敬助の前では明るくて可愛い自分を見て欲しいから私は努力した。敬助がショートカットがタイプだと言えば次の日私は美容院に行ってバッサリ切りに行く。その日彼に髪型を見せると彼はすぐに「可愛いよ♪」と言ってくれた。
私は敬助に何回も可愛いと言ってもらいたくてその度努力した。化粧も覚えたし、ミュールだってはきこなせるようになった。
毎日変わる自分に、いつも愛してくれる敬助に私は幸せでいっぱいの日々を送る。
明日は敬助と出会ってちょうど1ヶ月。

だけど敬助はもう私を愛してくれないんだね?

糸売



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