『俺、お前の事一番に想えない。』
私と彼の物語は本当はここから始まったのかもしれない。
『嫌いになったって事?』
別にそんな事聞きたかったんじゃなかった。
私は・・・
『違うよ。ただ、俺達別れた方がいい。こんな気持で付き合ってたって意味ないよ、お互い。』
『・・・わかった。』
彼との最後は、たった一本の電話だった。電話を切ると、涙が出ることもなく代わりに溜め息が出た。
彼と付き合いはじめて泣いてばかりだった私。少しは成長したかな、、
なんて考えてるすきに自然と目の辺りが熱くなる。やっぱり駄目だ・・・
「なんで・・・なんで、本当の事いってくれないのょ。バカァ!」
ガランとした一人の部屋に虚しく響く。
彼の行動は突然の様に見えて、実は予想していた事だった。でも、やっぱり悲しい。別れがじゃない・・・その優しさが、だ。
彼は知らない、私が彼の秘密を知っていることを。でも、私はもうこうなると分かったときからどうするかは決めていた。
こんなの本当の終りかたじゃない。
彼の家
『ピンポーン』インターホンを鳴らす、部屋から彼の声がした。
静かに扉がひらくと、驚いた様子の彼がいた。