aki-第2章-?

1003  2007-12-20投稿
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夕飯の材料の買い物に行く。今夜は何にしよう…。せっかくなのだから、手の込んだものにしよう。きっと、亮ちゃんは喜んでくれるはずだ。



駅から自宅迄の途中にあるショッピングモールに向かう。
いつもは気にしない人混みが何故か今日は鬱陶しく感じた。




買い物を終え、出口に向かう途中に声をかけられた。
「唯ちゃん!」
私が知っている声だ。
振り替える。
「今帰り?」
私は問いかけられて、はい、とだけ愛想良く答えた。
「久しぶりだね。亮は元気?」この質問にも、はい、とだけ愛想良く答えた。


彼は亮ちゃんの同級生で、柳川哲という人だ。
どんな人なのかは、私と亮ちゃんの結婚式で少し話したくらいなので良く知らない。
ただ、亮ちゃんとは仲が良いという事と、初対面で『哲ちゃんって呼んでね』と言い程人懐こいという事。


その時、私の携帯電話がポケットで震えた。
画面には『亮ちゃん』。
哲ちゃんはチラッと私の携帯の画面を横目で見てから、どうぞ、と手招きしていた。


「もしもし。」
私は哲ちゃんに背中を向けながら電話をとる。
「今日はもう帰り?」
亮ちゃんの質問に答える。
「うん。今夕飯の買い物終わった所。あ、ねぇ、偶然今哲ちゃんに会ったんだけど、代わろうか?」
亮ちゃんの返事を聞いて、私の携帯電話を哲ちゃんに差し出す。


「久しぶりだな!元気にしてたのか。あぁ…うん。良いよ、そんなの。えっ?じゃあ…うん。」
哲ちゃんは、少し気まずそうに携帯電話を私に返す。

「今日は哲も夕飯良いかな?」
亮ちゃんのあまり言わない我が儘に、駄目とは言わなかった。



電話を切ってもなお気まずそうな哲ちゃんに愛想笑いを作る。
「せっかくなんで、夕飯ご馳走しますよ。」






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