学祭準備の頃からアキヒロの態度が一変した。
メールをすぐ返さないとキレたり、電話も出れないのをわかってて授業中にかけてきたりして、休み時間にかけなおすと「教室抜け出してでも電話にでろ!」と怒鳴られたり…あと、メールに絵文字が少ないだけでもすぐに怒るようになった。
そして、マイたちも変わった。
急に私を避けはじめた。
理由はわからなかった。
聞いても無視されてしまった。
結局私は独りになってしまった。
そんな時、相談に乗ってくれたのが、渡辺と水泳部のカナコ先輩だった。
休み時間に私が一人でいると、渡辺がいつも話し掛けにきてくれた。
お昼にはカナコ先輩が誘いにきてくれた。
「エリさぁ〜彼氏と別れたら?」
お弁当を食べながらカナコ先輩がいきなり言いだした。
「彼氏のこと好きなの?」
そう聞かれて考えると、私はアキヒロのことが怖いという感情しかないことに気付いた。
「彼氏のこと怖いんでしょ?」
カナコ先輩は私の心なんてお見通しと言う。
「うん。」
「なら別れたほうがいいよ!ってか、何で付き合ってるの?」
なんで?
なんとなく。
「なんとなくなら意味ないじゃん!」
カナコ先輩はエスパーだと思う。いつも確信を突いてくる。
「今日の夜、言ってみます。怖いけど。」
「うん。がんばって!何かあったらすぐに電話して!アタシからもアキヒロ君に言ってあげるから!」
そう言ってカナコ先輩は私の頭を撫でた。
「ありがとぅ。」
カナコ先輩の優しさに泣きだしてしまった。
カナコ先輩はただ頭を撫でたまま、私が泣き止むまで付き合ってくれた。