明日の面接は何着て行こうか‥‥。
やべー。俺って今まで何着て面接行ってたんだろ。
派遣の単発のバイトなら、“スーツ姿で面接”なんて事は有り得なかったから。
はぁ‥。俺ってなんていい加減な奴。
これでもA型なんかな(笑)
リングを質屋に預けた金は、病院代払ってもまだお釣りがあるし。
服でも見に行こうかな。
頭の中で今日のスケジュールを組み立てていたその時だったーー。
ブー‥ブー‥ブー‥。
俺の携帯が鳴った。
誰だろう‥。
俺にメールなんて。
昔は良くパチンコ屋の案内メールが来ていたが、1日に何回も来るので、ウザくて解除した筈だった。
ん?!
メールの主は、
木下 奈央だった。
《ケガは良くなりましたか?美味しいグラタン作りました。食べに来ませんか?》
ええっ?!マジ?!
俺は超浮かれていた。
昨日病院で交わしたアドレス&番号も、話の流れからそうなっただけで、良くある社交辞令だと思っていたからだ。
なんて返信しようかな‥。
俺は浮かれていた。恥ずかしい位に浮かれていた。
昨日パチンコ屋で、あの初老の男に話し掛ける直前に込み上げて来た感情とは全く別の物だったが、熱く湧いて出た感情と言う意味では同じだった。
何年ぶりだろう。
こんなに熱くなれたのはーー。
何年ぶりだろう。
こんなにドキドキしたのはーー。
浮かれている気持ちを落ち着かせ、
俺は木下 奈央にメールを返信した。
《ケガはまだ痛むけど、大した事ないよ。俺グラタン大好き。本当に行っていいの?》
すると木下 奈央から返事が来た。
《勿論です。あたし今日は仕事が休みなので、時間はいつでもOKなんですけど‥。駅前で待ち合わせします?》
《了解です!!》
俺は二つ返事でメールを返した。