双龍・二
「さーて、お前さん達は一休みしておくれ」
ルー老人が杖を差し伸べると青龍と紅龍の巨大な体がスルスルと縮み、老仙人の左右の手首にピシッと巻き付き、ブレスレットに変わっていた。
「ホレ、武器じゃよ」
ルー仙人が山際晋に向かって左手を振ると、分銅を鉄の輪でつないだ様な物が空中から現れた。
ぴゅんっ、と一振りした晋は
「九節鞭(くせつべん)、懐かしいですね」
と言いながらガシャリと腰に巻き付けた。
大欠伸をして、ルー仙人を乗せた白虎は晋と共に山間の細道を下ってゆく。
「おい!ドラゴンじゃないか! お前も用心棒役を買って出たのか?」
そう言って山際晋の肩を抱くようにして出迎えたのは、かつてのライバル、林白龍(りん・ぱいろん)である。
「あはは、ドラゴンが二人で紛らわしいかな?」
リンも別のカンフー道場でドラゴンの異名を取っていた男だ。
「双龍がそろい踏みか。 俺も手伝うよ」
声の主はヒゲ面の巨漢で、小虎(シャオ・フー)のあだ名がついた村山剛(ごう)である。
「悪ガキ共の勢揃いってヤツかの、ウッホッホ」
ルー仙人が笑う。