13時に駅前で彼女と待ち合わせをした俺は少し早めに着いた為、そわそわしていた。
『松田君、お待たせ。』
振り返ると、そこには眩しい位満面に笑みを浮かべた彼女が立っていたー。
『ごめんね。待ちました?』
『ううん。俺も今来たばっかだから。』
嘘つけ‥。もう20分も前からここにいるくせに‥。
俺の心の中で、もう一人の俺が答えた。
『いきなりメールしてごめんね。松田君もしかして今日は何か予定があったんじゃないかって‥。』
彼女は俺の目を上目遣いで見ながら言った。
透き通る様に白い、きめが細かく、
柔らかそうな肌。
二重の丸くて大きな瞳で、俺の顔をじっと見つめる彼女。
俺は彼女の瞳に吸い込まれそうになったーー。
まるで天使が目の前に舞い降りたかの様に見えた。
『松田君?!』
ハッと我に返った俺は照れくさくて、
彼女から一瞬だけ目をそらし、また視線を戻した。
『‥いや、今日は別にコレと言った用事は無いんだけど、
明日派遣登録している会社から紹介を受けた仕事の面接があるんで、何か着る物でも見に行こうかなとは思ってたんだけど。』
『ええ?!明日面接なんだ?!頑張ってくださいね!!』
彼女は小柄で華奢だった。
身長178?の俺とは、おそらく20?以上の差はあるだろう。
『じゃあ先に明日の面接に着て行く服を見に行きましょうか?!私お付き合いしますよ?!』
彼女は屈託の無い笑顔で言った。
『本当に?!そうしてもらえたら有り難いんだけど。』
彼女は昨日、パチンコ屋で男に絡まれていた時のイメージとは程遠く、洗練された積極的なイメージに見えた。
女ってわっかんねー。
俺は彼女の好意に甘えて、買い物に付き合ってもらう事にした。
『面接だったら、やっぱスーツですよ、ね?』
『うん。俺普段スーツなんて着る事ないから、面接用に適当なヤツでいいんだけどね。』
『じゃああそこ行きましょう。あたしのバイト先の同僚君が良く行くトコなんだけど‥。』
『うん。ありがと。じゃあ案内してもらえる?』
ーこんな感じで街を歩いていた
俺達二人ー。
端から見たらやっぱ恋人同士に見えたのだろうかー。
俺にとって女の子とこうして並んで歩くのは物凄く久々の事でありー。
彼女との会話が物凄く楽しくて、
嬉しくてー。
俺は益々彼女に惹かれて行ったー。