まだ肌寒い春の訪れ
桜がちらほらと花びらで祝福している
一時はどうなることかと思ったけど
あたし、高校2年生に上がれたよ
4月―。新学期の始まる始業式の日。
毎年学校にいるはずのその日、あたしはコンビニスタッフの制服を着て、レジに立っていた。登校中にここのコンビニに寄る学生達は、不思議そうに私の顔を眺める。
「照未(テルミ)ちゃん、ごめんねぇ。どうしても遠い所にいる親戚のお見舞いに行かなくちゃいけないの。」
昨日出勤時間が一緒だったパートのチワワみたいな目をした原さんの言葉を思い出す。
親戚のお見舞いか。
何の病気で入院してるか知らないけど、いい迷惑だよ。新しい担任の先生になんて言えばいいのさ。
まぁ、寝坊とでも言っておきますがね。
2時間目のチャイムが鳴る5分前ぐらいにあたしは退勤ボタンを押した。
自転車にまたがり曇ひとつない青空の下ゆっくりとペダルを濃いで学校に向かう。