奈央と出会えたから。?

麻呂  2007-12-22投稿
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『松田君、その色いいんじゃない?松田君のイメージだよ。スーツ姿の松田君も素敵ですよ。』

大きな目をくりくりさせて彼女が言った。

『そぉ〜お?!俺は元々カッコイイから。‥なぁ〜んてね。』

『あはは‥。』

へぇ‥。彼女は笑うとえくぼが二つ出るんだ。

昨日は気が付かなかったけど、
やっぱ可愛い‥。


『孫にも衣装って言うじゃん。』

俺は照れ隠しにそう言った。


『自分で言ってる。そんな事ないよ。
松田君カッコイイ顔してるし。』


勿論、社交辞令だとは思ったが彼女に褒められて悪い気はしなかった。


『ハハハ。ありがと。お世辞でも嬉しいよ。』


そんなたわいない話をしながら、俺は彼女に見立ててもらったスーツを試着し、購入して店を出たーー。


『あたしの家は東区なんです。地下鉄乗りましょうか。』


『地下鉄なんだ?車には乗らないの?』

俺の不躾な質問にも彼女は笑顔で答えた。


『乗るのは夏場だけ。冬道はやっぱり怖くて。あたし実家は小樽なんです。
札幌は交通量が多くて、あたしの運転じゃ無理。』


『札幌に来てまだ日が浅いとか?』


『うん。まだ2年位かな。高校卒業してすぐ札幌に住み始めたから。』


彼女は俺の誘導尋問にも素直に答えてくれた。


『へぇ‥。じゃあ木下さん、まだ21位?俺よか4つも若いじゃん。』


『うん21です。
松田君、あたしより4つもお兄さんなんですね。どおりで落ち着いてると思った。』


『ハハハ。俺落ち着いてなんてないよ。落ち着いてる人がネットカフェ難民なんてしないでしょ?』

思わぬ彼女の言葉に俺は気恥ずかしくなった。


『あは。そだね。』

そう言って彼女は笑った。



地下鉄の乗り場まで歩くのに何分掛かったろうか。


彼女と話している時の俺はとてもテンションが高く、凄く饒舌になる。

元々無口な方だと思っていた俺にとっては、意外な自分発見だった。


4つ目の駅に着くと、俺達は地下鉄を降りたーー。

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