私の家は、ごく普通のありふれた家庭だと思う。幼い頃から両親は共働きで、姉が二人、私は末っ子である。
そんな私は今年で20歳になった。この節目の年に、どうしても吐き出したい、20年間の少ない年月の間に自分の中に溜まり続けて一向に消化しない心の中の塊を、誰かに聞いてもらいたくなった。それは常に私の中に重たい闇として居座り続けてきたので、私は二つの人格を持っているような感覚のまま生活してきた。
楽しいことや悲しいこと、それなりに人間らしく生きてきたと思う。昔の自分はとても無邪気だった。まわりの友達と同じように日常を楽しみ、時に悩んでいた。
けれど今の私は、まわりの友達と同じ感覚で生きているような気がしない。
悩みの内容や日常の過ごし方が特殊なわけではない。頭の中で考えていることが、誰にも理解してもらえないような気がして、本当の自分の気持ちや考えていることを表に出すということができなくなってしまったのだ。
それは私が今まで経験してきた、数少ない出来事に原因があるのだと思う。私はその数少ない経験を、隠すことなく全て吐き出したいという思いをずっと抱いていたのだろうと思う。
本当の自分を知ってもらいたい。理解してもらえないかもしれないけれど、もしかしたら共感してくれる人が世の中にはいるかもしれない。そんな微かな希望が、私に勇気をくれたのかもしれない。
友達や恋人にそれをする勇気は今だに、ない。まず臆病な自分がいるからだ。嫌われたり、離れて行ってしまうかもしれないと思うと、怖い。
だから私は、私の中の陽の面だけをまわりに見せてきたし、これからも見せていくつもりだ。
私の中の陰の部分が生かされるのは、この拙い文章の中だけである。
この文章を書くことで、私の陰の面がこの中だけで生きるのではなく、陽の面と一体化して私自身となり、怖がることなく皆の前で自分自身をさらけ出すことが出来るようになればいい、そんな身勝手で臆病な望みを託して、私の今までの人生を、正直に綴っていきたいと思う。