マートンが隠れているのはテルズ家のバカでかい屋敷の地下深くにある、奴隷部屋だ!!…いくつもの鉄格子の檻…昼間でも真っ暗なこの部屋には灯りなどない。と言っても今は夜なのだが…。あの化物がいるのはここからかなり上の階だ。こんな薄気味悪いところ、今にも飛び出してやりたいが…あいつがいなくなるまで物音ひとつ、たててはいけない…。あいつは今、新しい獲物を探しているのだから!!! 瞳に涙をいっぱいに溜めながら、まだマートンは息を潜めて…その時だった!!!!上の階から聞こえていた物音がドンドン!ドンドン!!大きくなる!!!!!
ドスっ…ヒタリ…。化物が階段から降り立った…マートンがいる地下の部屋に!!!!化物はしばらく鼻をヒクつかせ…マートンが隠れている奥の檻の方を向いて止まった。化物が笑った…。マートンがいる檻に向かって突進してくる!!! 「ガシャーン!!!…カラッ…」化物が鉄格子にぶつかった。マートンのいる檻の。マートンはその時初めて自分の一族を襲った化物の姿を見た。
「ひ…ひぇっ…う゛」マートンは悲鳴をあげる事もできなかった。いかれた怪物がかわりに代わりに絶叫した。血に飢えた怪物の歓喜の叫び…マートンは檻のすみで膝を抱え、壊れそうなほど震えているている。マートンの瞳からたまった涙が大きな粒となって流れた…。
これから麗しの怪物とイケニエの少年による可憐なるショーが始める…また、怪物が笑った。