『ああ、そうだ。俺達は仲間だ。なんの遠慮も要らねえぜ。つまり、俺様の言った事は、あんたの言った事。逆に、あんたの言った事は俺様の言った事って訳だ。』
『まだ会ったばかりの人間をそこまで信用していいのか?』
歳三は正宗の顔を凝視した。相変わらず、隻眼の瞳の中には焔が燃えている。
『俺様の眼が嘘をついてるか?』
正宗は歳三を見据えて言った。
両者、動かず、会話も無く、暫くが経った。
『有り難く承った。』
歳三はきっぱり言った。
二人にはそれで充分であった。男と男が認め合うのに言葉は要らない。
『そうと決まりゃあ、これからはあんたの事を「歳」って呼ぶぜ。あんたも、「正宗」でいいぜ』
正宗は破顔した。
歳三は懐かしい想いに駆られた。「歳」と呼ばれるのは何時以来だろうか。流山以来か。これまでの全てが懐かしく感じた。「近藤さん、総司、どうやらあんた達に会えるのはまだ先のようだ。俺にはまだ、やる事が出来ちまった。いつか、土産話を沢山持って会いにいく。楽しみに待っていてくれ。」歳三はかつての自分の分身達にしばしの別れを告げた。