どれ位鳴いていただろう。戸の向こうには、あのキジトラの気配がするが、いっこうに開けてくれる気配はない。
日は落ち、あたりは真っ暗になり、オマケに雨迄降ってきた。今日はどこかで雨宿りしなければ…
ドビーはいったん、そこを離れ屋根のある場所を探した。が、この家のそばでなければならない。俺の声の届く所。家の裏にまわり、材木の積んである、木と木の間に入り込んだ。
雨はしのげる。こうなったら長期戦だ。俺はあのきじねこに運命を感じたんだ。自分の直感を信じ、空腹を忘れる為に、俺は鳴きつづけた。
明日になれば、必ずチャンスはある。
そんな事を思いながら、俺はどうやら、眠ってしまったらしい…
気がつくと、雨も止み、東の空にお日様がのぼりはじめた。
ホントに腹が減った。俺はまた、玄関先に行き今日の一番、にゃおーん、と鳴きはじめた。