いつもより明るい夜の街、ショットガンを持った少年は街で一番大きなツリーがある広場へと向かっていた。
「くそ…!早く!早く…!」
少年はさらに力強く走った。
広場につくと頭のいかれた男が無差別に銃を発砲していた。
「死ね!日本人は皆殺しだ!」
男は銃口を転んでいる少女に向けた。
それに気づいた少女の両親はただ悲鳴をあげるだけだった。
少年もそれに気づき走り出した。
パン!
銃声と同時に少年はかばうように少女に覆い被さった。
「おいおい、かばってんじゃねぇよ…無慈悲な日本人だろぉが!」
男はさらに引き金を引いたがそれより一瞬早く少年が先に引き金を引いていた。
ドン!
発砲音とともに男はよろめいた。
だが男は胸部を押さえながら踏みとどまった。
(ショットガンじゃだめだ…距離が遠すぎる…)
少年は少女を両親の元へ返すと立ち上がった。
「くそ!痛くねぇぞ日本人!こんなの全然痛くねぇ!」
少年は男が完全に体勢を整える前に接近した。
男はそれに気づきよろめきながらも銃口を少年に向けた。
(まだだ…致命傷を与えれる距離まで、ギリギリまで…)
男が完全に体勢を整えるのを確認した少年は走り出し一気に距離をつめ引き金を引いた。
ドン!
パン!
二発の銃声、男もギリギリのところで発砲していた。
吹き飛んだ男はツリーに突っ込み動かなくなった。
少年も胸部を撃たれ倒れた。
少年は撃たれたところを押さえながらあお向けになった。
(痛ぇ…苦しい…寒い…眠い…てか体が動かねぇ……)
雪を降らす空をぼーっと見つめているとさっき会ったメガネの男の顔がひょいと少年の視界の中に入ってきた。
「さっきの質問に対する答えは、君の情報を全て知り得ることができるほどの組織に、俺が所属しているからだよ。日本人全員の個人情報だって手に入る。それだけデカい組織だってこと、その組織に君をスカウトしたいんだ」
(…は?…何言ってんだ…早く…助けろよ…)
「おーい、聞いてる?」
男は呑気に話しかけている。
(……やべぇ…マジで…死…ぬ…)
少年の意識はだんだんと薄れていった。