高校サッカー選手権千葉県予選
赤と黒のストライプのユニフォームの栗原学園高校はベスト4を賭けて今年のインターハイ優勝高である船山高校と戦っている。
二年生にして10番を付けている里中大和は半分諦めの気持ちで試合に挑んでいた。無論、最初からではない。里中の気持ちを折ったものは決定的な実力差であった。
前半開始直後の2失点、今に至るまでの試合展開で里中は自分のチームとの差をおもいしった。前半が終了した時点ですでに里中の気持ちはどこか違う試合とは関係のない所にあった。
里中は東京のクラブチームから引き抜かれてきた選手である。一年生の頃から試合にレギュラーとして出場し、結果を残してきた。
栗原学園高校は決して弱いチームではない。他の県の代表高であれば互角以上の戦いをすることができる力を持っている。
しかし、それ以上に船山高校は強い。徹底された能力の高い選手による戦術、40分間持続させることのできる運動量。選手間での指示の質、試合に賭ける気持ち。優っているものは何もなかった。後半が開始しても、船山高校の 攻撃を耐えるのでやっとであった。
里中はその中誰よりも怒りを感じていた。