「どうだい?彼の様子は」
「やはりすごい生命力ですね。完全に破壊されていないとはいえ心臓を撃たれたんですよ」
(話し声…誰だ?)
「お!目を開けた!」
(ん?この声…あのときの男の…)
「ぐ…うぅ…」
陸はゆっくり体を起こした。
「ちょっと!まだ安静にしてなきゃ!」
白衣を着た女が慌てて起き上がる陸を止めようとしたが少年はベッドから降りた。
「おはよう陸君」
変装だったのか元々コンタクトだったのか分からないが男はメガネをかけていなかった。
「…こんな所に拉致して何がしたいんだ?スカウトって何?」
「スカウトってのは聞こえてたんだ。そのまんまだよ君をこの『STOC』にスカウトしたい」
男はなぜか笑顔で言った。
「『STOC』?って何?」
「君は身にしみて分かっていると思うが最近テロが多発している。それに対抗するためのエリート中のエリート…中のエリート?から構成されてる部隊だよ。」
「てことはあんたすごい人なんだな」
陸は少し嫌みったらしく言った。
「そう、俺すごい人。でどうする?やることは君が所属してた民間組織とはあまり変わらない。違うのは金が出ることと最新最強の武装ができるってこと」
陸は少し考えた。
「…分かった。でもまだ半分」
「半分?」
男は眉をひそめた。
「うん、半分。もっと詳しく話聞かせてくんない?それで気に食わなかったら入らない」
男も少し考えた。
「OK!じゃあここの見学をしながらもっともっと詳しい話を聞かせてあげるよ」
男はそういうと陸の肩に手を回した。
「あ、ついでにこの人はここの専門医の筒井京香さんね」
「ついでって…」
「んじゃ、行こうか!」
そう言うと2人は部屋から出た。
「1つ質問していいですか?」
陸はうざそうに肩に回された手をどかした。
「何?」
「名前、あんたは誰なんですか?」