ちょうどその時タバコを吸いおわった僕はスーツ姿で道路わきのパーキングメーターの横に何気なく立っていたわけ。
すると、タタタッと背後から駆け足の音が。僕の顔をちらっと見ると車に乗り込んだ。何気なくその車を見つめる僕。車はなかなか発車しない。車内から男が僕の様子をうかがっている。「???」男の顔に見覚えはない。しばらく見つめあう二人。
そのうちあきらめた雰囲気で男が車から降りてきた。つかつかと僕のところにやってくる。僕は何事かと身構えた。男の口が開いた。「すみません。パーキングメーターの料金を払ってないんですけど…。いくらになりますか?」僕はとっさのことで内心ビックリしつつ顔をひきつらせながら仕方なく答えた。「今回はいいですよ。次回から気をつけて下さいね」男の顔がぱっと明るくなった。「どうもすみません」と何度も何度も頭を下げると車をスタートさせた。
何だかとてもすがすがしい気持ちになった僕はまた歩き始めたのであった。