白銀(しろがね)の刃が煌めく。
月夜に閃くそれは、とても美しかった。
刃を握る者は、静かに眼を閉じる。
そして声を聞く。
『獅子の名を冠す者よ、望みはなんだ。』
刃を月に掲げ、その者が答えた。
「邪鬼を、切る。」
そして振り向きざまに、刃を横一閃に振った。
黒い塊が両断され、音を立てることなく消えていく。
そのかわりに、断末魔の叫びが木霊した。
月は静かにそれを見ていた。あの光景が当たり前のことであるのかのように。
【獅子の裁きはいつか必ず下される。】
誰かがそう言ったのを、月は黙って聞いていた。