Gratitude Story

駿  2007-12-24投稿
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仕方なく急ぐ事にした。
「ほら、早くいってらっしゃい!!」
そんな言葉はシカトしといて、口の中にパンを突っ込んだ。
いちよ、適当に髪を整えて、制服を半分着たまま玄関へダッシュ。
ドアを開けて一歩踏み出した瞬間、寒さに身が縮み上がった。吐く息が白い。
「もう、こんな季節かぁ」
などと、ジジ臭いセリフを思わず言ってしまう程だ。
今日こそは遅刻しねーぞー、心の中で意気込んで、学校への一本道を走り出した。

「ハァ、ハァ、ハァ」
久し振りに走ったし、結構意気込んでダッシュしたから、疲れて来た。
一旦立ち止まって息を整える。
「あれ?」
何かおかしい…。
俺登校する時疲れる事なんてあったか?
だって家と学校の距離は歩いて三分位、走ったら一分そこらでつくはず。なのに俺、随分走ってないか?
周りは見慣れた風景。道を間違えたって事はまず有り得ない。
俺の走るスピードが超遅くなってたとか?
いやいや、いくらなんでもそれは無い。
改めて辺りを見回すと、ここは家からでてからすぐの無人駐車場…。
ますます訳が分からなくなってきた。あんなに走ったのにまだ家を出てから50mそこら。流石にこれはおかしすぎる。
どこをどう間違えたら駐車場に戻って来るのか…。
取りあえずもう一度学校へ向かってみよう。
今度は道を意識してゆっくりと…。
「は?」
この角を曲がった所が学校。のはずが、目の前に現れたのは見慣れた駐車場…。
まさか…。
「ループしてる?」
んなあほな、そんな事って有り得るのか?
何度も道を確認して通るが、やっぱり明らかに、この角で駐車場へと戻る様にループされてる…。しかも道の続き方が全く不自然じゃない。
道をしっかり確認しないとわからないくらいだ。まるでジグゾーパズルのピースの様に…。
道と道がくっつくなんて、おかしな話しだけど、本当にそんな感じだ。
これじゃあ、最初に気付かなかったはずだ。一体この道何周してたんだか…。
「あっ…」
今最悪な事が頭に思い浮かんだ。
「これって…、家に帰れないんじゃ…」
いや、それどころじゃない。俺は死ぬまで一生、この一本道という小さい島(?)の中で、誰にも会えずに生きていかなければならない。
「冗談じゃねーよ…」

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