学祭も終って、みんなが普段の学校生活に落ち着き始めた頃の昼休み、ミカが突然驚く事を言いだした。
「実は、好きな人ができたの!」
サチコと私は驚きで言葉がでなかった。
「男子バスケ部の先輩なんだけど、一目惚れしちゃって。バスケ部のマネージャーになろうと思って入部届け昨日出してきたんだぁ〜」
「えっ?ミカ、ダイキと付き合ってるじゃん!」
あわてて言うとミカはきょとんとした顔で
「先輩に告白してOKなら別れるし、ダメならこのままかなぁ〜」
と言いだした。
「ミカ!それはナシだよ!ダイキの気持ちはどうなるの?ひどいじゃん!」
サチコはひどく怒った。
「もともと、ダイキは告られたからなんとなく付き合っただけだし。ミカとダイキの問題だよ!サチコには関係ないじゃん!」
その時、私は胸が痛くなった。
まだミカは誰かを傷つけることの愚かさを知らないんだ。
自分を見ているようだった。
「関係あるよ!それに、ダイキはミカのことすごく大事にしてるじゃん!ミカもダイキをもっと大切にしなきゃ!」
「やだ!ミカは先輩のほうがいいもん!」
まるで物を扱うように言うミカ。
「もぉ、わけわかんない。ミカ、ちょっと頭冷やしなっ!」
そう言ってサチコは立ち去っていった。
「ミカ…サチコの言った通りだよ。本当に先輩が好きなら、ダイキに話してはっきりさせなきゃ。」
「エリまでそんなこと言うの?エリだって好きでもないのになんとなくで元彼と付き合ってたんだから、言える立場じゃないじゃん!」
何も言えなかった。
本当だったから。
言える立場じゃないこともわかってて言ったはずだったのに、言い返す言葉が見つからない。
私もその場所を離れた。