〜駄目な僕〜
「バカモノ!!何度も言わすんじゃない!!」
毎朝、この言葉で一日がスタートする。僕は今春から社会人になったばかりのピカピカの一年生だ。ピカピカなのに、この様だ。
怒鳴られる理由は、出社時刻が毎日、始業ギリギリだからだ。
僕は何よりも、朝が大の苦手・・・。
社会人にもなってといつも周りから言われる。
どうしたらちゃんと起きれるのか・・・。
就寝前は、少しビクビクしてしまう。
また明日も・・・いや、今度こそ。と考えているうちに・・・。
チュンチュン(鳥の鳴き声)
朝だ!!
「何で、目覚まし時計が鳴らないんだよ!!」
「急がないとまたギリギリだ!!」
毎日、この繰り返し。
一日が終わり、家に帰った。
「何でいつもいつもこうなんだよ俺わ!!」
自分自身に腹が立った。
朝が苦手な自分が情けない。
朝がだらしない為に仕事で結果を出しても認められない。悔しい。
僕はそのまま布団の上で俯せになり、涙を流した・・・。
「ごめんなさい。」どこからか、掠れた声が聞こえた。
「誰?」
「僕です・・・目覚まし時計です。」
僕は耳を疑った。
目覚まし時計を見ると、目覚まし時計が泣きながら、僕を見つめている。
(目)「ごめんなさい。僕が起こせないせいで・・・。」
(僕)「何で、目覚まし時計が喋ってるんだ・・・。」
夢でも見ているのかと最初は思った。
(僕)「そうだよ!!お前がちゃんと時間に鳴らさないから毎日毎日ギリギリになるんだよ!!」
(目)「せっかく僕を連れて帰ってくれたのに・・・僕は駄目な目覚まし時計。」
目覚まし時計は僕に言った。
(僕)「いや、君のせいにしてゴメン。僕がいけないんだ。」
僕は自分の否を彼のせいにしていた。
〜出会い〜
こいつとの出会いは入社して一週間目の日曜日。
朝が苦手な僕は、目覚まし時計を買いに出掛けた。
家電製品売り場で、何十種類もの目覚まし時計が陳列されていた。
値段はピンキリ。
僕は、田舎から出てきて、一人暮らしをしていたので、高い目覚まし時計は買えなかった。
そこで、陳列棚の端に大特価と書かれたシールが貼られた目覚まし時計があった。値段は300円。少し色褪せ、ホコリを被っている。でも、機能はちゃんとしている。
僕は、あまりにも安かったので購入した。
これが、彼(目覚まし時計)との出会いだった。
彼は、購入した次の日から寝坊していた。