彼とは幼なじみ。
私が5歳か6歳くらいのころ、近所のお姉ちゃんが赤ちゃんをつれて帰ってきたことだけは記憶している。だから、おしめも変えたこともあるし、ミルクも飲ませた思い出もある。
それから彼はすくすくかっこよく成長していき、ついに彼が小学校6年生の柔らかな初春の昼下がり
「真由子が好きだ」
と告白された。
私には当時彼氏がいたから断った。
「俺、諦めないから」
彼はぐっと涙をこらえた声で呟いた。
「真由子のこと、そいつより俺のほうが好きだもん」「翔くん…」
その4ヶ月後、私は当時付き合っていた人と別れた。理由は、あの告白から、翔くんに対する想いを自覚してしまったから。
本当はずっと、好きだった生まれたばかりの彼を一目みたときから恋をしていただけどモラルや、性癖への疑い、同年代の友達とする『彼氏』の話についていけなくなるのが怖くて、蓋をしていた。